わたしも三億円事件の実行犯だった、と思う。

映画『初恋』みてきました。

初恋~三億円事件の犯人は女子高生だった~ [DVD]

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(↑これはプロモーションDVDだと思う)
原作↓を読んだときは
初恋

初恋

実話なので、このタイトルなのかな、と思った。
「府中三億円強奪事件の犯人が女子高生だった」ていうネタは
たとえばさ、沖田総司が女だった、みたいな
エンターテインメントになりそうなくらいではありますが、
そのくらいの歳月も流れているんじゃないかと思いますが、
原作はそういうものじゃなかったんです。
読んでくうち、これって本当の話しなんじゃ?って気がし始めて、
主人公のみすずさん*1にシンクロして痛く苦しくなってくる。
彼女の、ホントの気持ちは分からないですけどね
実話なのでこのタイトル、というのは
犯人=女子高生、というのがメインなら、そっちを強調した題名になるんじゃないかな、と。
(センス良いのが思い浮かばないけど『彼女は実行犯』*2みたいな?)
でも作者さんの実体験、人生についての文章なのだから、
そのときのことを書いて題名を付ける、
だったらそれは『初恋』になるよね、っていうこと。

そんなお話しではありますので
原作読んでなくて映画みる方がちょっととまどう箇所もあるかも、

難しい映画ではないし
気持ちはもう充分伝わるんだろうけど
私たちがあまりにも作り物の文法のようなものに慣れ過ぎてるための違和感、
みたいなことが出るのじゃないかしらとちょっと思う。
本当の話しだから、あ、いや、ぜんぜん確証は無いんですけどね、
出てくるメイン・キャラクターの誰も、省略なんてできっこない、けど、
(「できっこない」どころではなくてこれが実話なら酷いことこの上ないわけだけど
 ああ、お話し作りって神の座にどうしても立っちゃうことってあるのかなあ)
そもそも
みすずさんのお兄さんの亮さんの存在が分かり難い、といいますか
『初恋』を虚構として見るならすっきりしないですよね、
だってみすずさんの孤独は強調されなきゃいけないんだから、お話し的には。
でも、だからこそ、
その割り切れなさがリアルっぽいな、と。逆に。
でもって逆に、孤独感もかえって強調されるわけだけど。
でもさいしょに観てる人は
なんで亮はBのメンバーにみすずを自分の妹だって紹介しないんだろう?って思ったかも、なんて思う。
原作ではそこらへんのとこを岸が誤解してたかも、ということも書かれてるんだけど
映画では見えてこなかったような。
でもこれは岸の背景にはなんか重いものがあって
みすずと岸がふつうにすんなりいくものじゃない、というのは見えたかな、と。
あと、もひとつ、
「母と子」という血縁関係についても意識的に見ておいた方がいい、と思いました。

んでそろそろだんだん、
ネタばれの域に入っていきますが、


































みすずさんと母親の「再会」も、そこでの何も無さがすごくリアルで、
でも原作とはディテールが違ってるんですけど、
みすずさんの気持ちを感じるより
ええとふたりは実の親子だった?とか思ってしまうところかも。
・・・
でもって。
小説『初恋』を読んだとき、
これは中原みすずさんの初恋の話しだから『初恋』ってタイトルなんだと思った。
そして映画『初恋』をみながら、
これは「初恋」の話しなんだから『初恋』なんだと思った。
犯行"実行中"のアクシデント、
偽装白バイにからまったビニールシート、
雨に降られながら「もうだめだ」なんて思ってしまう、
そんなことをしたのは世界でただ一人、私じゃない、
ああ、でも
なんて身に覚えのある行動なんだろう、
そんなあわてぶり、愚行といえば愚行、うんきっとそんなことみんなやってるんじゃないか。そのとき、
わたしも三億円事件の実行犯だった、と思う。
・・・
であと、映画で、
三億円事件が日本政府の面目をつぶし損ねたこと、
バイク屋のおやじさんのことも原作より具体的な言及が・・・・・・)
そして、
事件のあと大阪万博が行われたことが語られていたけど、
もしかしてホントに歴史を、変えられた可能性のある犯行だった???
三億円事件の、真の、真犯人がそういう人間だということが世界に知れて、
日本政府の面目がつぶれて、
それでも万博とかやれただろうか、
セキュリティとか疑わしい国に世界中から人が来て万博成功なんて言えただろうか。
うん、
ほんとうのことはわからないけど。
・・・
あ、あと、
宮崎あおいちゃん、
ええと、
今回は(今回から?)あおい「さん」?60年代女子高生のオトナ感がステキ・・・・・・メイク力と演技力の為せるワザ?

*1:さん付けしちゃった

*2:センス無さ杉(泣