彼の映画を愛するわたしは、彼の映画の犬を愛する。

・『スカイ・クロラ』をまたまたまたまた観たくなって5度めの出撃、先週の月曜日。
・『スカイ・クロラ』をまたまたまたまたまた観たくなって6度めの出撃、先週の金曜日。
・『スカイ・クロラ』をまたまたまたまたまたまた観たくなって7度めの出撃、きのう。


スカクロ廃人と呼んで下さい。さもなくばあたしを撃って、その銃で。*1


なんだか身体にしっくりくる、ので、脳にも。
なんども観てしまう、あたし的にはそういう映画、『スカイ・クロラ』って。




今年の夏は、花火をみなかった。
でも
スクリーンの大作戦、大空での幾つもの飛行機の爆発、
それを観ながら「今年の花火」はこれだったか、と思った。きれい。


人が死んでいるのにさ。


死の痛みを読みとらず、綺麗、とか書くと何かすっごい最低なんだけれども我ながら、
でもコレ、
「空中戦は迫力があった」とか書くのと程度は違う?違わない??


だってまあ、
死っていう絶対値に近付いて、
けれど観てる観客としての自分の死では決してない、それが娯楽の本質。エンタテインメント。


あたし尺度でエンタ性をこえてた虚構の死というと『シェルタリング・スカイ[rakuten:ebest-dvd:11758928:image]か。
ポート*2 が果てていくシーンは
薬をいっぱい飲んだ(ミラじゃねえし君みたいね)ときのこと思い出したな。
って、
おお何か知らんが「スカイ」つながり。


でもま、
空での死が観客には切実でないだろう、ってのが『スカイ・クロラ』では重要な要素なのかもね
キルドレは空で、
戦いながら生きる実感を持つらしいのだけれども。
自分は生き残って、着陸して、地上に戻って、
一緒に飛んだ誰かは戻ってなくて、
それはものすごい痛みでなくて、切り裂かれるように、また自分が壊れてしまうのでもなくて、
悲しいけれども「なにかいやなカンジ」が残っているものなのかも知れない。
・・・
スカイ・クロラ』は退屈だった、とか書いてる人がもし、
多少は戦闘シーンは楽しめたとか思っているなら、
いやなカンジになって欲しいと思う。


いやな気分になれ
いやな気分になれ
いやな気分になれ


もっと、もっと、もっと、


いやな気分になあれwwwww


お前ら、ひとのことなんか関心ないだろう、
ゆっくり結ばれていく人間関係が、
どこか忘れていた何かを思い出していくようなものだったりとか
音と光、
みえるものきこえる音(あの繊細な!)、
風、空、まずい料理、
ただ、まんまで此処ある、世界のことなんか、興味ないだろう。


スカイ・クロラ』はなんど観てもあたしには、見せ場の連続だ。
若者が赴任して、上司が女性で
職場の環境はどこか奇妙で
人の死の匂いがあって
気になる相手のことがどんどん知れていって、
かれ(かのじょ)のために動かざるを得なくなってしまうようなこと。


そんなことやら何よりあの、
あの世界、
だって基地に着陸したらわんこが、
わんこが喜び吠えてお迎えに来てくれる!!
いいなあ。
パイロットになりたい。


でもあのわんこの声が、
映画において登場人物の生死を告げるサインになる。
わんこが沈黙してしまったら、
飛び立ったままの人は帰らないのだ、(そのままでは)。


彼(彼女?)こそ映画の中心。


「また犬か」かなんか書いてあったのも読んだけど、違うよね、ておもう。


押井守作品はずっとずっと、犬映画だったじゃーん。
バトーも
紅い眼鏡の人も
(もしかしたら諸星あたるも?)みんな犬だ。犬さ。
犬たちの戦い。ドッグファイト
・・・
まったくもって『スカイ・クロラ』をめぐる感想で、
まあ、他人がどういう感想持とうが自由なわけだけれども、


「A」と断言するなら、んじゃ「B」は?


なんて言いたくなってしまうことが多々ありすぎるわけで、
なんかむかーし、
さらにさらにもっと(強調w ← 自嘲)子どものころ劇場に観に行った、
うる星やつら オンリー・ユー』の、
同時上映だった
相米慎二監督の『ションベン・ライダーションベンライダー [DVD]の上映最中に
まわりの席で騒がしかったやつらに
「まったくもう、うるさいなあ!」
と思ったときの気分も黄泉がえってしまうというもの、
ションベン・ライダー』観て、
俺の方は映画じゃない、かなんか押井監督は思ったそうなんだけれども
あたしも何だろう、これは!
なんかわかんないけど今迄知らなかった類の面白さだわ、とか衝撃を受けてたわけでだから
「A」と断言するなら「B」は、
と問いたくなる、その最たるものが

草薙水素役の菊地凛子の冷たい熱演だなあ
、と。
も、
大絶賛したい。
あの映画での水素はあの声と演技でしかありえない。
完璧だしー。
凛子の友だちとかじゃねえよ、
とか断りたくなるくらいに第一声を聴き、
ああこの人はハリツメテル人なんだな・・・って思い、
映画の時間がしばらく過ぎて彼女が叫んだとき、その感情の爆発で、
なんかもうせつないくらいいろんなことが解っちゃったしシンクロした、


草薙水素はあたしだ


と思いながら観てました。あ、いやごめん、各方面w、












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今も思ってるけどさ(←


あ、いやいや「A」を言うなら「B」は?ね、
りんこが下手だっつならさー、
たとえば『コードギアス』のV.V.の声の人はどうなのー?とか訊きたくもなる、し、
そもそも、じゃあ、草薙瑞季たんは?とか。
だから上手い下手ではなくて存在感のあり方の問題だよね、多分。
菊地非難してる人たちの内実って
声優支援よりの政治的な感覚やら
ヲタクさんの生理的反感も含んでやいないかーと勘繰ったりもしちゃうわけで。
そこらへん、
宮崎駿監督のヲタ感覚嫌いの裏返しなんじゃ?とかも思います、
だってさ、
君ら深夜アニメでスポンサーがレコード会社だったりすると流れてる、
アイドル声優さんたちのお仕事活動とか見ても、
「キモイ」とはひとっかけらも思ったこともない生理感覚の持ち主なのでしょ、
とかゆいたくもなりマス。
なんデスかね、
この世のどんなスイーツ(笑)よりも甘ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい虚構人格は。
とか思ってましたがまあ何人かの声優さんの『絶望先生』のお仕事ぶりで
色々だいしょうぶにはなりましたが。ってコレは余談か。
・・・
(なんかもう押井監督の思惑に同意し過ぎかもなんだけど、
 ホントに同意してるんだから仕方がないワン。あいや、I'm not his dog*3
・・・
「A」を言うなら「B」は?でもひとつあるのが
人のシーンと飛行機のシーンの齟齬、
セルアニメなかんじのとことCGのとこの繋がりの悪さを言うかたも結構いらっさるのだけれども、
んじゃそれを言うなら、これは?
っていうのがこれよ、キング・コング [DVD]
ひゃはは。モンスター場面と人の場面は別の映画だよん、なあんて♪でも傑作でしょ?
そもそも、じゃあ、
これまでのアニメーション映画の、とくに日本のものにおいてはなはだしい特色の、
セルと背景画の齟齬ってどうなのよ?っていう、
みんな意識してないけど
これはアリ、てことにしてみてるだけだよなあ。
そもそも押井ムーヴィにおいて作品世界への没入なんぞ期待するもんでなく、
所与の感覚なんぞ疑られまくりなものじゃないかしらん。
ぐるぐる感覚の迷宮っぷりだって、あれ、
引き込まれる類のものじゃなくてああなっちゃうとむしろ、
ちょ待てよ!!
って覚醒したくなんないですかー?っていう。
だからもお、
スカイ・クロラ』はコラージュでおK♪なのよさ。
・・・
あと、娼館大好き*4のトキノくんみてて
恋愛とセックス・ワーク論もあるのよねえ、と思た。
トキノくん、
いろいろ踏み込まないのな。もう大人?
・・・
あと、ま全体、キルドレの皆さんの行動たら
オザケンの歌球体の奏でる音楽連想するよな「おとなってかんじー♪」みたいな、ねw
ははは、それこそ菊地成孔氏の感想ききたい、ような。


■■■■■■

*1:後半、菊地凛子ヴォイスでお願いしますw

*2:ジョン・マルコヴィッチ(!、と今にして驚いたり。)

*3:eiga no kami niwa kawaretai

*4:クスミさん(とするの)も好きなんだろうけど