反・そこに入れるために探せよ欠点、なこと。

もう『悲夢』が素晴らしくてすばらしくて♪
なによりもかによりもとてつもなく
最高に良かったのは、オダギリジョーが石を彫るときのあの音!
わたしの中の、聴覚の フェティシズムが開かれて
がしゅがしゅってきこえるたびにみみがぴきんぴきんと反応して
神さまああこの音は、いったいなんということですか。


そしてスタッフさんあの音を選択して下さってありがとうって泣ける思い。


オダギリジョーの寝室の、蒲団の藍色にも惹かれた。これがにばんめにすてきだったこと、
そして映画自体はもしかしたら2009年のベストワン候補だったりするよ、
あたしのための、ベストワン、ランキング。
石を彫る音と蒲団の藍、
それが良いなんて、さっぱり思わない人がどれだけいてもかまわない。


こないだ、
キム・ギドク監督作品のかなりなファンなひとと『悲夢』について話したのだけど
『悲夢』の、
あの現実から夢に入りつつある場面の音楽にはさすがに引いた、って言ってた。
えー、そうなの、
あれこそとっても、監督らしくなあい?なんてわたしは思ったのだけれど。
あの音楽っていうか効果音っていうかそうれはもう、
おばけ屋敷でひゅ〜♪どろろ〜♪と同じくらいにべったべたな、
ここから不思議シーンですよって告げるていのべったべたなやつ、
キタキターってすんごく喜びましたけどね、
それはあたしには『ブレス』における、
実作業時間をまったく考慮しないでシーンをつないでるので
瞬時かいってぐらいあっという間に模様替えされたことになるはずの刑務所の面会室のこととか、
サマリア』で、あれ?こっから突然ソープオペラになりますか?な展開とかと、
結びついてるまったき悦びの瞬間だったのだけれどまあ、
そこんとこ誰に解れという気もない。説得する気もないし。
キム・ギドクファンのひとはもういっかい観たら印象変わるかなあ、とは言ってた。
そして彼女は『悲夢』をぜんたいとして悪く評価してたわけでもない。
・・・
ところでベストとかワーストとかランキングとか、
こないだ『映画芸術』誌が発表した、なんだっけ、
2008年の邦画ワーストテンの堂々1位が『おくりびと』だったのだけど
おくりびと』が米アカデミー賞外国語映画賞を受賞したことがあって
映画芸術』のサイトが炎上したっていう、あ痛たたな事件がありましたが、ねえ、
その『映画芸術』誌の戦術のほとんど何にもなってなさってのは泣けるw*1
サイト掲示板で擁護側みたいな意見の書き込みで、
(『おくりびと』批判があることは)「健全さのあらわれ」みたいなことを言ってたのがあったけど
いやあの、作品批判したけりゃすれば別にいいかと思うけど
毎年毎年ワースト作品選んでるなんてのはまるで健全じゃあないんじゃない?
それは、壁と卵でいえば、どうしたって壁の方だと思われる。
卵を投げてたたかっていくやり方でなく、
壁を作って相手を押し潰していく方法論なんだと思う、
まず最初から、
この映画は今年悪かったうちの何番目です、複数の人の意見を集計した結果ですよ、
なんて決めたところから始める、なんていうのは。
独りで、
卵を握りしめるところから始めろよ。


ま、今年のことはさほどあたし的には驚くことでもなくて前々からまあ
映画芸術』はあたしの言葉で言えば"げひょげひょ"なもんであったけどそれは、
すんごく良いと思った西川美和監督『ゆれる』も
なん年だったかのワーストでかなりなとこに選ばれててなんじゃらほいと思って選評みたら
なんかなんだか、
作者は映画で起きる出来事の真相すべてを判ってて撮るべきなので否定する、
とか書いてあって(まともな引用する気がなくてごめんね)さ、なにそれ、
そーれーはー
映画の完成度に対する評価でなくて方法論の違い、
つまりは
考え方・思想の違いをもって相手を批判することでしかないんじゃあないの?と思う。


そういうこと言うなら、
自作シナリオを改変することに敏感な脚本家こそ映画の敵、
なあんて思想をあたしが持ったっていいよなーと思う。
脚本だけが素晴らしいなら、それだけ読んでもらえば良いじゃない。
・・・
↓ななめ読みした感想。

バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争!<邦画バブル死闘編>2007-2008年版 (映画秘宝COLLECTION 38)

バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争!<邦画バブル死闘編>2007-2008年版 (映画秘宝COLLECTION 38)

テレビドラマ先導みたいな映画の増加を嘆いてる本なのだろうけどたぶん、
河瀬直美監督作品のとこで江戸木純さんが、
俺にとっては映画っていうのはやっぱりアクション映画の何だかんだ、
かなんか言っちゃった結果、
本の主張ぜんぶに意味が無くなっちゃった本じゃあないの?
なら、
テレビドラマのつづきを劇場システムで観ることが俺にとっての映画だし
それがいちばん楽しいぜって多くの観客がきっと思ってたらどうすんのー
どうせならそうゆう映画にお金出したいねーって
金を出せるほうは思ってるかもしんないしさー。どうすんのー。


■■■■■

*1:読者増加よりも(広告にもランキング発表ついてたから読者増やしたいんだろうかと思うんだけど違うのかな)多くの人によって読まなくたって全然かまいやしない本、って認知されたのじゃあないかしらん?