瞬間忘れてしまうので、そっこう不可視になるの例。

床にちらばる黒だった

川上未映子「発光地帯」第15回「うっとりを頭にのせて」から)
https://yorimo.yomiuri.co.jp/csa/Yrm0504_P/1221729958657
・・・
上の引用が何かと言うと
エッセイの中の人、たぶんにとっても川上未映子さん本人らしい人が髪を切ったとこ、
小説の第一稿を書き上げて、すっきりして

なのでずっとほったらかしにしていた髪をばっさりと切って、
床にちらばる黒だった

さっきの引用に、前の(上の)行を足すとこうなります、
一稿をあげてうれしい、という気分の直後にこう来るからまるで
うれしさのあまりに(?)
いきなり小説書いてた部屋の中で髪を切ったふうでもありでも次に
勢いあまってピアスもあけた、っていう話しになって
結局
「あけてきたのだった」と結ばれるので
髪も、
しかるべきところで散髪しはったんやと思われる。
いや?
わからないけど、ホントのところは。
美容院の床を、「床」と書くかな、とは思うので。っていうわたしの感覚もあるのでして、
わたしの場合床をただ「床」と呼ぶのは勝手知ったる自分ちの床だけ、
美容院の床は「フロア」か、「美容院の床」だろうそれは、
とは思うのだけれどいずれにしろそんなこんな、
髪を切るまでのその工程、
自宅でそのまま行う場合も美容院まで行く道を経てから髪を切るまでの段取りも
あとから
それに気をとられるように思い出すと、というか
あのときのあの、
そのときの今でしかなかったけど瞬時に今でなくなってとおり過ぎてしまっうそのときの、
床にちらばる
気分に直結したそのいろ。
それをとっとと埋めて忘れるように生きてしまう、わけであり
川上未映子文を読んでようやっと、埋めてしまっていたものに再会する、わけであり
たいへんしばしば川上未映子の刻印が
そうした場所におれを導くのさ。
・・・

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映画が始まったら黒板が、動いているでしょう、
動くしくみがつくられてそれで黒板が動いてる。
影絵少女の校内放送で始まるお昼休み、
赤色が目に焼きつく、学園の建物も動いているように見える。
教室の黒板のように。
そしてそこは地から遠ざかるように伸びる生活圏のよう、
そしてさらに薔薇のある、空中庭園
斜めに伸びた柱に支えられ、
重力に対しての構造計算はされているよう、かろうじて。
ただし庭のへりには柵などない


重力なんか、夢見るみんなで知らないふり、知らないふり。


いつかわたし(あなた)を呼ぶエンジン音がとどろく日まで。