ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』

ふたつめの「水上スキーで永遠をめざした若者」読みましたよ
タイトルどおりの話しで。
すごいな、
ティプトリーはこの短篇では核となる筈のアイディア(以前のもの)を発展させてもいない、
ように見えて。
クライマックスでの異変(についての語り)へいたるまでに書かれた仕掛けがじわり、と効いてきました
ベラの生態から人類社会の別のあり方を夢想したこと、
ランゴスタ、
熱帯産のロブスターたちの回遊を目撃し海底に長く連なる彼らを漁から護ろうとするんだけど
友人である漁師の苦難を助ける道を選んでしまったこと、
そんなエピソードが
ティプトリーの別の短篇、
異星へと向かう女たちや実験動物を愛してしまっている動物学者さんの話しを想起させつつ
・・・そして
そんなふうには読んで欲しくない、と作者には言われそうだけれでもでも、
ティプトリーの伝記的事実、その終わり方をも連想しちゃったりしつつ
短篇が別の世界への扉を開く。
永遠へ。